ソングコンテストグランプリ・2022
日本作曲家協会・日本作詩家協会 共同企画作曲部門
グランプリと最優秀作曲賞が決定しました!
日本作曲家協会・日本作詩家協会共同企画「ソングコンテストグランプリ・2022」は、今年も広く全国に作詩・作曲作品を募集しました。山本 譲二さん(テイチクレコード)を対象歌手として、1月15日から詩の募集を開始し、全国から1347作品の応募がありました。
そして3月25日、日本作詩家協会理事16名と日本作曲家協会ソングコンテスト委員会合同による選考の結果、「人生ごよみ」(作詩:ごとう 順)、「睡蓮」(作詩:結木 瞳)の2作品が最優秀作詩賞に決定しました。
この2編の詩を課題詩として4月20日より当協会会員のみならず広く一般からも作曲募集を行いました。「人生ごよみ」会員・132作品、一般・163作品。「睡蓮」会員・108作品、一般・169作品。合計572作品の応募がありました。
6月31日・7月1日の両日、当協会会議室において、川崎 浩(毎日新聞社客員編集委員)、清水 満(産経新聞)、田家 秀樹(音楽評論家)の3氏に選考委員を依頼。「人生ごよみ」会員12作品、一般11作品。「睡蓮」会員8作品、一般8作品を選び、最終選考はテイチクレコード制作スタッフ、事務所そして協会ソングコンテスト委員会の協議により行われました。
その結果、「人生ごよみ」は一般からの応募・西尾 澄気氏が「睡蓮」は会員・村田 誠一氏が最優秀作曲賞を獲得しました。
そしてレコーディング終了後、テイチクエンタテインメントにおける編成会議の結果「睡蓮」がメイン曲としてグランプリに決定しました。
なお、このCDは9月28日テイチクエンタテインメントより全国発売される予定です。
作曲部門 グランプリ
村田 誠一(協会員)
課題詩「睡蓮」
作詩:結木 瞳(ソングコンテストグランプリ・2022最優秀作詩賞)
最優秀作曲賞
西尾 澄気(一般)
課題詩「人生ごよみ」
作詩:ごとう 順(ソングコンテストグランプリ・2022最優秀作詩賞)
優秀作曲賞
課題詩「人生ごよみ」
玉田 剛士、石田 光輝、南部 直登(協会員)
夏城 晴彦(一般からの応募)
課題詩「睡蓮」
岸田 妙子、大村 友希、小橋 浩司(協会員)
江口 隆法(一般からの応募)
受賞に寄せて
グランプリを受賞して 村田 誠一
事務局から受賞のお知らせの電話をいただいた時、「ああ、やっと20年以上もかかった夢が実現した」と感無量でした。協会のソングコンテストのHPに記載されているように、第一回ポップス部門のグランプリを受賞したのですが、諸事情によりCD発売に至りませんでした。失意のどん底から一念発起し、再度チャレンジしようと決意しました。
私は長年作編曲家の若松正司先生から指導を受けました。ここまで来られたのは天国にいらっしゃる先生のおかげです。NHKの「みんなの歌」やボニージャックスのCDに曲が採用されましたが、演歌歌謡曲の受賞は初めてです。
これからは「日本のうた」として残る作品をめざして全身全霊励みます。
最優秀作曲賞を受賞して 西尾 澄気
この度は、最優秀作曲賞をいただき、とても感激しています。作曲を始めて37年、NHKのテレビ番組「あなたのメロディー」をスタートに民放の番組のテーマ音楽、イメージソングなどに楽曲が採用される一方で、レコード会社に作品を送る日々を続けていました。形にならない作曲活動が辛くてもうやめようかと思ったこともありましたが、今まで諦めずに続けてきて本当に良かったとつくづく感じています。
「人生ごよみ」は詩のワンフレーズ「そうさ人生これからだ」に心を打たれ、これまでの人生を振り返りながら作曲をしました。
皆様のあたたかい心に支えられ、これからも作曲活動に励んで参りたいと思っています。本当にありがとうございました。
ソングコンテスト選考にあたって
テイチクエンタテインメント 山本 譲二担当プロデューサー 磯田 繁男
この度は、「ソングコンテストグランプリ2022」に山本 譲二が参加させていただき、日本作曲家協会、日本作詩家協会の皆様には大変お世話になりました。そして何よりこのコンテストに参加されたお一人お一人に御礼申し上げます。ありがとうございました!
自分の経験上、複数の楽曲候補から発売する楽曲を絞るということですら、あまり無かったため今回はとても新鮮で刺激的な作業をさせていただきました。
皆さんがそれぞれの作品に込めていただいた"力"を強く感じながら読み、聴かせていただきながら、とても2作品を選ぶのは苦労しましたが、「睡蓮」「人生ごよみ」と決めさせていただきました。聴いていただければ皆さんが納得していただける譲二節が炸裂した2曲になったのではと思っています。
選に漏れた皆さんも自分の"力"を信じて制作活動に精進していただければ、いつの日か良い結果が待っていると思いますので、是非これからも頑張ってください。
近い日にスタジオでお会いできることを楽しみにしています!
選考にあたって寸評
毎日新聞社客員編集委員 川崎 浩
外部選考委員は会員による作品が選考の対象なので、プロ的な"うまさ"が安心や安定を生むと同時に、プロ的な"あざとさ"が食傷や厭えん飽ぽうを招くという諸刃の剣の危うさがあると想像して選考に臨んだ。しかし 個人的に望んだものは、そこから一歩踏み出したプロしかできない新鮮な歌謡曲だった。
会を終えて感じたのは、あざとかろうが食傷気味だろうが「新曲を作るんだ」という会員の覇気と熱気は想像以上で大変エキサイティングだったことである。結果として、そのエネルギーと作曲技術さらに歌手や時世に対する洞察力が総合的に高い歌が、最終的に選考された。それは本来望んだ歌謡曲に近しいものであったことは大変喜ばしかった。
産経新聞特別記者 清水 満
いわゆる名曲といわれた作品は、詩とメロディが一体化する。聞く者はまるで映画の世界へ誘われたかのように、映像が次々と浮かんでくるものである。となれば構成に詩の理解と主役・山本 譲二の存在は欠かせない。
「睡蓮」は、"清純な心"" 信頼"などの花言葉が隠れ、人の生きざまが浮き彫りされた物語である。主役の世界観を引き出す叙情的なメロディが似合う気がする。「人生ごよみ」も然り、譲二節を想像し易い詩であったが、逆に譲二のイメージに囚われ過ぎたのか、斬新さに乏しかったのも否めない。「えっ、これが譲二?」という"新たな世界"も聞いてみたかった。
音楽評論家 田家 秀樹
「人生ごよみ」は平易な語り言葉で綴られる「人生ソング」だ。でも、語り言葉である分、解釈次第で曲の"重さ"や"軽さ"が変わる。冒頭の"何も言うなよ"がその最たるものだ。"よ"のニュアンスをどう表現するか。そこを強くし過ぎて展開に行き詰ってしまった例が多かった。サビには"そうさ人生"の繰り返し。しかも"..."がある。さりげなく入って"惚れた"やサビを生かす曲に好感を持てた。
「睡蓮」は対照的に具体的なタイトルがイメージを決定してしまう。"濁り水"と"凛と咲く"というハードルを越えた作品は多くなかった。一見、曲をつけやすそうで「落とし穴」のある「人生ごよみ」と文字面から難関な「睡蓮」。今回もタイプの違う絶妙な二曲だと思った。