ソングコンテストグランプリ・2021
日本作曲家協会・日本作詩家協会 共同企画作曲部門
グランプリ決定!
日本作曲家協会・日本作詩家協会共同企画「ソングコンテストグランプリ・2021」は、今年も作詩部門・作曲部門とも広く全国に作品を募集しました。神野美伽さん(キングレコード)を対象歌手として、1月15日から詩の募集を開始したところ全国から1,389作品の応募がありました。
そして3月25日、日本作詩家協会・日本作曲家協会合同のソングコンテスト委員会による選考の結果、「浪花恋おんな」(作詩・まんだあつこ)、「無常の満月(つき)」(作詩・國枝星志)の2作品が最優秀作詩賞に決定。
この2編の詩を課題詩として4月20日より当協会会員のみならず広く一般からも作曲募集を行いました。「浪花恋おんな」会員・164作品、一般・198作品。「無常の満月」会員・123作品、一般・191作品、合計676作品の応募がありました。
6月24・25の両日、当協会会議室において、笹森文彦(日刊スポーツ)、清水 満(産経新聞)、田家秀樹(音楽評論家)の3氏に審査員を依頼。「浪花恋おんな」会員11作品、一般10作品。「無常の満月」会員10作品、一般8作品を選び、最終選考はキングレコード制作スタッフにより行われました。
その結果、「浪花恋おんな」は作曲家協会会員・山田恵範(よしのり)氏が、「無常の満月」は一般からの応募・山本茉莉氏が最優秀作曲賞を獲得しました。
そしてレコーディング終了後、キングレコードにおける編成会議の結果、「浪花恋おんな」がメイン曲としてグランプリに決定しました。
なお、このCDは9月22日、キングレコードより全国発売となる予定です。
作曲部門 グランプリ
山田 恵範(やまだ よしのり)(協会員)
課題詩「浪花恋おんな」
作詩:まんだ あつこ(ソングコンテストグランプリ・2021最優秀作詩賞)
最優秀作曲賞
山本 茉莉(やまもと まり)(一般)
課題詩「無常の満月(つき)」
作詩:國枝 星志(くにえだ せいし)(ソングコンテストグランプリ・2021最優秀作詩賞)
優秀作曲賞
課題詩「浪花恋おんな」
長谷川ひろのぶ、松原英二、山口正光(協会員)
梅沢俊紀(一般からの応募)
課題詩「無常の満月(つき)」
河知成僖、五代香蘭、藤とおる(協会員)
石田 雅(一般からの応募)
受賞に寄せて
「浪花恋おんな」作曲:山田 恵範
この度は、ソングコンテスト・グランプリを受賞させていただき誠にありがとうございます。2019年に同賞をいただいていたので、受賞の連絡を受けた時は、大きな喜びと共に、にわかに信じがたいような不思議な感覚を味わいました。
今回の詩は、浪花演歌。明るく気は強いが、好きな人にはめっぽう弱い。そんな明るくてかわいい女性像を曲にしたつもりです。東京でのレコーディング時に神野さんの歌を初めてお聴きした時は、圧巻で鳥肌が立ちました。
コロナ禍により音楽業界も大きなダメージを受け、私たちも活動を制限される中、作家が夢を見られる場を作って下さり本当にありがとうございます。携わっていただいたすべての方に心より感謝を申し上げます。
「無常の満月(つき)」作曲:山本 茉莉
この度は素晴らしい賞を本当にありがとうございました。
「おめでとう!」とお電話をいただいた時は、驚きのあまりしばし頭が真っ白に。
平成13年の第3回日本の歌・ソングコンテスト以来の応募ですが、ようやく最優秀作曲賞をいただけた嬉しさに心が震えております。
なぜか「月」の歌に強く惹かれるところがあり、國枝星志さんの「無常の満月」に夢中になってメロディーを付けました。
神野美伽さんの豊かな表現力に昔から魅了されてきた私は"ズキっと胸に突き刺さる決めフレーズをどう作ろうか"。そこに随分と時間がかかりました。レコーディングでは終始鳥肌が。まだ興奮が覚めません。「これからも歌の隣で生きていきたい」そう思いました。
ソングコンテスト選考にあたって
キングレコード製作ディレクター 灰崎 興太
この度は弊社所属神野美伽が歌う作品として大変多くのご応募を頂き誠にありがとうございました。どの作品もレベルが高いことは勿論のこと、神野美伽のアーティスト性をご理解下さっている点においても素晴らしく、順位を付けていくのが心苦しい選考でした。今回はこの作品に決定となりましたが、あくまで「今の神野に歌わせたい作品」として絞った結果です。惜しくも選に漏れた作品の中にも、素晴らしい作品が幾つもありました。是非今後も素晴らしい作品の種を生み出し続けて頂き、(できれば弊社所属歌手の)ヒット曲の作家としてご一緒できる日が来ることを願っております。
選考にあたって寸評
日刊スポーツ新聞社 笹森 文彦
対象歌手が神野美伽であること。これが私の絶対的な審査基準だった。
神野さんは演歌の可能性を信じて、何年も前から米ニューヨークの老舗ジャズクラブで「無法松の一生〜度胸千両入り〜」「悲しい酒」「酔歌〜ソーラン節入り〜」などを、ギターとピアノだけで歌って来た。
それはCD売り上げの減少、ファン層の高齢化など演歌の現状を憂い「ニッポン人である私たちにしか表現できない日本固有の歌『演歌』は、もっとソウルフルで、もっとクールで、もっと感じる歌であってほしい」と強く願っての挑戦だった。これが私の持つ神野美伽像である。
歌謡界屈指の歌唱力で、どんな曲調でも「浪花恋おんな」と「無常の満つき月」は歌いこなせるだろう。だが、神野美伽ならどんなメロディーで歌いたいか。そして歌ってほしいかを考えて選んだ。独自の神野像が明確に反映されたメロディーは少なかった。
産経新聞特別記者 清水 満
あらかじめ詩がある。まず読み込む。情景が浮かび、物語ができる。そのイメージによって曲が構成される。「浪花恋おんな」に焦点を絞る。男に尽くし、裏切られても恋焦がれる女性がテーマ。典型的な演歌の王道である。多くの作品は、その路線を踏襲していた。
ところが、意外な曲調の作品に驚かされた。和風ロック調であり、大人のジャジーなメロディーがあった。歌い手は神野美伽である。演歌に限らず、幅広いジャンルを歌いこなすマルチ・アーティスト、なるほど、聴いていて意外なほどに違和感はない。仮にひとつの詩で何曲か発表しても面白い。昭和の女性と令和の女性は価値観だって違う。既成観念を超えた発想が大事さを知った気がした。
音楽評論家 田家 秀樹
神野美伽さんの35周年コンサートを見た時にジャンルに捉われない自由さに惹かれた。今回、バラエティーに富んだ曲が集まったのは歌い手がそうさせたのだと思う。
「浪花恋おんな」も「無常の満つき月」もテーマは「女心」。「女らしさ」をどう表現するか。Aメロの巧みさが印象的だったグランプリのA34やA48、異色のロック歌謡A80、4拍子が女っぽかったB9、マンハッタンの満月が見えそうなB52、3番をサビ扱いのB49。どれもひと工夫を施した聞きごたえのある曲ばかりだった。
※脚注:A34......B52などは、エントリーNo.です。