ソングコンテストグランプリ・2020
日本作曲家協会・日本作詩家協会 共同企画作曲部門
グランプリ曲決定!
日本作曲家協会・日本作詩家協会共同企画「ソングコンテストグランプリ・2020」は、今年も作詩部門・作曲部門とも広く全国に作品を募集しました。山川 豊さん(ユニバーサルミュージック)を対象歌手として、1月15日から詩の募集を開始したところ全国から1,733作品の応募がありました。
そして3月26日、日本作詩家協会・日本作曲家協会合同のソングコンテスト委員会による選考の結果、「エレジー~終恋歌~」(作詩・成瀬友元)、「男の昭和挽歌」(作詩・外山尚子)の2作品が最優秀作詩賞に決定しました。
この2編の詩を課題詩として4月15日より当協会会員のみならず広く一般からも作曲募集を行いました。「エレジー~終恋歌~」会員・183作品、一般・118作品。「男の昭和挽歌」会員・175作品、一般・124作品、合計600作品の応募がありました。
6月29・30の両日、当協会会議室において、笹森文彦(日刊スポーツ)、清水 満(産経新聞)、田家秀樹(音楽評論家)の3氏に審査員を依頼。「エレジー~終恋歌~」会員6作品、一般5作品。「男の昭和挽歌」会員6作品、一般5作品を選び、最終選考は長良プロダクションとユニバーサルミュージック制作スタッフにより行われました。
その結果、最優秀作曲賞は「エレジー~終恋歌~」「男の昭和挽歌」の2曲とも作曲家協会会員・玉田剛士氏が獲得しました。
そして、長良プロダクション及びユニバーサルミュージックにおける編成会議の結果、「男の昭和挽歌」がメイン曲としてグランプリに決定しました。
なお、このCDは9月30日、ユニバーサルミュージックより全国発売となる予定です。
作曲部門 グランプリ
玉田 剛士(協会員)
課題詩「男の昭和挽歌」
作詩:とやま ひさこ(ソングコンテストグランプリ・2020最優秀作詩賞)
最優秀作曲賞
玉田 剛士(協会員)
課題詩「エレジー〜終恋歌〜」
作詩:成瀬 友元(ソングコンテストグランプリ・2020最優秀作詩賞)
優秀作曲賞
課題詩「エレジー〜終恋歌〜」
南部 直登、藤田 たかし、水島 正和(協会員)
林 久美(一般からの応募)
課題詩「男の昭和挽歌」
愛田 幾也、石田 光輝、藤田 たかし(協会員)
谷川 天龍(一般からの応募)
受賞に寄せて
伝統あるソングコンテストで2曲いずれも受賞させていただけることを大変光栄に存じます。
「男の昭和挽歌」と「エレジー~終恋歌~」は詩の中に、各々に色合いの違う哀愁のある風情を感じ、読んでいるだけで浮かび上がっては流れていく映像を曲にも反映させたいと思いました。
その映像を背景に思いついたメロディーをブロックごとに何通りか書き出した後、山川 豊さんのこれまでの作品を改めて聴き直した上で、声のイメージを崩さないフレーズを選び、言葉のイントネーションができる限り自然に聞こえるよう調整しました。
今回の審査並びに制作に携わってくださった先生方、関係者の方々、そして2つのドラマを見事に描いてくださった山川 豊さんに心から感謝致します。
選考にあたって寸評
日刊スポーツ新聞社 笹森 文彦
「エレジー」と「挽歌」。辞書で「エレジー」を引くと同義語は「挽歌」と出て、逆も同じ。意味はどちらも「悲哀の情をテーマとする楽曲」とある。
対象歌手の山川 豊さんを想定し、どんなメロディーに仕上げるのか。数あるヒットの中で代表曲と言えば、やはり「アメリカ橋」。山口洋子さんと平尾昌晃さんが「肩の力を抜いた、トレンチコートが似合う歌」として制作された。そのイメージをどう払拭しているか。山川さんがエレジー(挽歌)を歌ったらどんな世界になるか、などを念頭に審査した。
残念ながら「函館本線」になっている作品も多くあった。詩の世界観と合わず「どうしてここで?」というメロディーもあった。エレジー(挽歌)と山川 豊さんをしっかり結びつけている作品を選んだが、難しかった。
産経新聞特別記者 清水 満
主役(歌手)と物語(歌詩)は決まっている。後は全体を構成するドラマ性(楽曲)。作曲者が物語の本質を理解し、主役の特性を引き出せば完成する。主役は山川 豊である。演歌の王道を歩んでいるが、〝山川節〟には力みがない。こぶしを抑え、独特の強さと優しさを持つ稀有な存在である。
「エレジー~終恋歌~」の主役には寡黙な男の哀愁が漂う。「男の昭和挽歌」は不器用な昭和男が見える。いずれの物語もちょっと抑えて歌唱する山川をイメージすればドラマが見えてくる。最終審査に残った楽曲はそれらをクリアしていた。いい曲でも物語と合わなければ、ドラマは完成しない。主役、物語、楽曲という〝三位一体〟は大事な要素である。
音楽評論家 田家 秀樹
いい詩というのは言葉がメロディーを呼ぶんだ、という話を聞いたことがある。詩をじっと見ているとメロディーが浮かんでくる、というのである。今回の2曲は、そういう類の完成度を持った詩だろう。「エレジー~終恋歌~」と「男の昭和挽歌」。"エレジー"と"挽歌"。タイトルにどんな歌かが明記されている。曲を付けたくなる。腕が鳴る。
応募数が過去最多だったというのもその結果と思う。グランプリになった2曲に共通しているのは「言葉のリズム」の気持ち良さだ。"メリハリとタメ"、そして"サビの落とし込み"。こなれたというのは、こういう曲ではないだろうか。
個人的に惹かれたのが"明るく泥臭い"エントリーNo.Aの159だったことは記しておきたい。