ソングコンテストグランプリ・2016
日本作曲家協会・日本作詩家協会 共同企画作曲部門
グランプリ曲決定!
今年度の「ソングコンテストグランプリ」は、「音楽祭委員会」から分離した「ソングコンテスト委員会」(岡千秋委員長・大山高輝副委員長)が中心となって企画・進行されました。
そしてまた、これまで作曲家協会会員限定で行われてきた「ソングコンテスト」を、公益事業として幅広く一般にも作品募集を行いました。
株式会社テイチクエンタテインメントのご協力のもと、松原健之さんを対象歌手として「みちのくふゆほたる」「夕風にひとり」の2編(日本作詩家協会・コンテスト大賞受賞作)を課題詩として募集が行われ、会員165作品、一般77作品の応募がありました。
8月5日(金)、当協会会議室において、笹森文彦(日刊スポーツ)、清水満(産経新聞)、田家秀樹(音楽評論家)の3氏に審査員を依頼。「みちのくふゆほたる」会員20作品、一般14作品。「夕風にひとり」会員10作品、一般5作品を選び、最終選考はテイチクエンタテインメント制作スタッフにより行われました。
その結果、最優秀作曲賞には川音稔氏作曲の「みちのくふゆほたる」と多田朗人氏作曲の「夕風にひとり」の2作品が決定しました。
そして、テイチクエンタテインメントにおける編成会議の結果、川音稔氏作曲の「みちのくふゆほたる」がメイン曲に決定しグランプリに選ばれました。
作曲部門 グランプリ
川音 稔
課題詩「みちのく ふゆほたる」
作詩:北村けいこ(ソングコンテストグランプリ・2016最優秀作詩賞)
最優秀作曲賞
多田 朗人
課題詩「夕風にひとり」
作詩:西井戸 学(ソングコンテストグランプリ・2016最優秀作詩賞)
優秀作曲賞
課題詩「みちのく ふゆほたる」
岸田妙子、南部直登、樋口義高(協会員)
浦崎直邦(ペンネーム:URA、一般からの応募)
課題詩「夕風にひとり」
松岡まさる、山田恵範、白川雄三(協会員)
木村浩介(一般からの応募)
受賞に寄せて
「みちのく ふゆほたる」作曲:川音 稔
8月某日、会社の仕事が終わり、JR中央線に乗ってスマホを見ると作曲家協会から着信があり、自宅に帰ってみると、ソングコンテスト受賞のファクスが入っていました。
実は、「みちのくふゆほたる」のデモCDは、女性ボーカルであり、またサビの部分も特徴的であるなど、受け入れられるかどうか自信はありませんでした。関係者の皆様に小職の個性的な曲を評価して頂いたことを感謝しております。また、これをきっかけに歌謡曲等の復活に少しでも貢献できれば、と作曲にかける思いを新たにしました。
本当にありがとうございました。
「夕風にひとり」作曲:多田 朗人
この度、ソングコンテストグランプリにて最優秀作曲賞を受賞出来たことを大変光栄に思っております。
私は自身でもシンガーソングライターとして活動しております。今回、松原健之さん歌唱の楽曲という事で、まず念頭に置いたのは月並みですが、松原さんの声質や音域そして雰囲気に合う曲でした。松原さんの今までリリースされた楽曲を聞き自分なりに分析し、自らの好みやカラーを抑え、あくまでも松原さんに合う曲をという思いで作らせていただきました。
結果として、このような素晴らしい賞を頂けて夢のように思っております。これからもより良い作品を作っていけるように精進してまいります。ありがとうございました。
ソングコンテスト選考にあたって
テイチクレコード制作部 制作部長 佐藤 尚
昨年の城之内早苗に引き続き、今年もソングコンテストでは大変お世話になり、ありがとうございました。今年の歌唱は弊社テイチクの「松原健之」とご指名いただいたことで、作詩の選考に際してはあえて2ハーフの作品を選んだり、ポップス調の作品を採用したので、会員の皆様と一般の方々の作品がどのような切り口で作品を創られ、応募されてくるのかがとても楽しみでした。
その期待どおり応募作品はとても広い範囲でジャンルにこだわらないものが数多く寄せられ、聴いていて色々な意味で刺激を受けました。その中でも詩の持つストーリーとか、心情的なものは失わずに音楽的に想像力をかきたてる作品を今回は選ばせて頂きました。それだけに作品が決定した後の編曲の組み立て、歌唱の方向性の組み立て等の音づくりにはいつも以上に注力させていただきました。ただ、そのような作業上の苦労も音楽に携わる者の喜びであることを改めて感じさせて頂きました。
選考にあたって寸評
音楽評論家 田家 秀樹
一日中音楽を聴いていることは珍しくありません。でも、今回のように同じ詩だけで何時間も、ということは多分、初めての経験じゃないでしょうか。歌詩の一語一語の解釈。日本語のイントネーションや情景感や感情をどうメロディーに乗せるか。短い時の中でどう構成してゆくか。こんなに違う曲が出来るのか、という驚きも含めて、"作曲"という作業の奥深さや面白さを味わわせて頂きました。どれも個性的な中で、構成の「一日の長」のあった曲と、自分のスタイルを貫いた二曲が選ばれたと思ってます。楽しい時間、ありがとうございました。
産経新聞特別記者 清水 満
たった一つの詩から、すべて違ったドラマが生まれていく。新鮮だった。真っさらな詩と向かい合う。人は誰でも情景を浮かべる。そんなファンタジーな世界に音をかぶせていく造形美...。途端に奥が深くなる。作家個々によって創り出される旋律という味付けは叙情的であったり、情熱的であったり...。聞く者を百人百色の世界へと誘う。コンテストの意義深さが見えた瞬間である。
詩と音の組み合わせは無限。だからこそ人々の多様性にも対応できる。審査では好みを押したが、改めて"歌ある世界は永遠..."を教えてもらった。
日刊スポーツ新聞社 笹森 文彦
初めて審査をさせて頂いた。課題詩「みちのく ふゆほたる」と「夕風にひとり」の合わせて約170作品。それぞれ歌い出し、サビなどにオリジナリティーがあり、とても楽しく審査できた。今風の作品だけでなく、昭和初期に発表していたら大ヒットしていただろうと思うメロディーや、石原裕次郎さんや田端義夫さんが歌っていれば代表曲になっただろうなと思うような作品も。1つの詩にこれほど多種多様なメロディーがつくとは、おたまじゃくしの持つ重み、奥深さを痛感させられた。