公益社団法人 日本作曲家協会(Jacompa)

ソングコンテストグランプリ
ソングコンテストグランプリ

ソングコンテストグランプリ・2019

作曲部門

グランプリ曲決定!

クミコ

 日本作曲家協会・日本作詩家協会共同企画「ソングコンテストグランプリ・2019」は、今年も作詩部門・作曲部門とも広く全国に作品を募集しました。クミコさん(日本コロムビア)を対象歌手として、1月15日から詩の募集を開始したところ全国から1,516作品の応募がありました。

 そして3月26日、日本作詩家協会・日本作曲家協会合同のソングコンテスト委員会と日本コロムビア(株)渡辺浩之プロデューサーによる選考の結果、「たんぽぽだけの花屋」(作詩・氏原一郎)、「FLY〜旅立ち〜」(作詩・沙木実里)の2作品が最優秀作詩賞に決定。

 この2編の詩を課題詩として4月20日から当協会会員のみならず広く一般からも作曲募集を行いました。

 「たんぽぽだけの花屋」会員・102作品、一般・83作品。「FLY〜旅立ち〜」会員・105作品、一般・86作品。合計376作品の応募がありました。

 6月25、27日の両日、当協会会議室において、笹森文彦(日刊スポーツ)、清水 満(産経新聞)、田家秀樹(音楽評論家)の3氏に審査員を依頼。「たんぽぽだけの花屋」会員・8作品、一般・5作品。「FLY〜旅立ち〜」会員・8作品、一般・5作品を選び、最終選考は日本コロムビア・渡辺プロデューサーと制作スタッフにより行われました。

 その結果、最優秀作曲賞には「たんぽぽだけの花屋」は会員の山田恵範氏に、「FLY〜旅立ち〜」は一般から応募の藤井和男氏に決定しました。

 そして、日本コロムビアにおける編成会議の結果、山田恵範氏作曲の「たんぽぽだけの花屋」がメイン曲に決定しグランプリに選ばれました。

作曲部門 グランプリ

山田 恵範(協会員)

課題詩「たんぽぽだけの花屋」
作詩:氏原 一郎(ソングコンテストグランプリ・2019最優秀作詩賞)

最優秀作曲賞

藤井 和男(一般)

課題詩「FLY〜旅立ち〜」
作詩:沙木 実里(ソングコンテストグランプリ・2019最優秀作詩賞)

優秀作曲賞

課題詩「たんぽぽだけの花屋」
平山 むつみ、杉本 バッハ、Deep 寿(協会員)
鐘ヶ江 良子(一般からの応募)


課題詩「FLY〜旅立ち〜」
かや こうじ、岸田 妙子、Deep 寿(協会員)
福留 順一(一般からの応募)

受賞に寄せて

山田恵範
「たんぽぽだけの花屋」作曲:山田 恵範

 この度は名誉あるグランプリを頂き大変光栄に思っております。

私はギタリストとして活動し作曲編曲をしております。作曲時に心掛けていることは、詩の内容をいかに活かすか、歌手の方の雰囲気を大事にするにはどういうメロディーラインがふさわしいか、そして個性が発揮し易いかなどを念頭に置いています。

 今回もクミコさんの曲を片っ端から聴いて研究し、シャンソンと日本のバラードの融合を考えました。出だしは優しく語り掛けるように、中サビで悩んでる感じを表現。そしてサビで大きく膨らませ、最後は花開くたんぽぽのように明るい未来が見えるように表現しました。

 このような賞を頂き心より感謝しております。今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します。


藤井和男
「FLY〜旅立ち〜」作曲:藤井 和男

 この度、最優秀作曲賞を受賞させて頂き大変うれしく思っております。歌唱のクミコさんのファンでもありますので喜びも、ひとしおです。

 「FLY〜旅立ち〜」は親子がテーマで、成長しながら不安に思う子供の気持ちと優しさ溢れる母親の気持ちをクミコさんならどう表現されるか、何度もシミュレーションして付曲いたしました。ちなみにデモCDは音大生の歌唱です。

 レコーディングにも参加させて頂き、素敵なアレンジと息のあった合唱団、それを引き立たせるピアノ演奏、そしてクミコさんの優しい歌声が一体となり、胸が熱くなりました。

 今回、選考に携わって頂いた先生方、スタッフの皆さんには深く感謝いたします。この度は本当にありがとうございました。

ソングコンテスト選考にあたって

日本コロムビア株式会社   コロムビアレコード制作部   渡辺浩之
日本コロムビア株式会社 コロムビアレコード制作部 渡辺浩之

 クミコというと「シャンソン歌手」というイメージかと思います。今回、グランプリ受賞曲をクミコが歌唱させて頂くことになり、クミコだからアプローチできる、これまでのソングコンテストには無かったような作品作りにトライしようと考えていました。

 「たんぽぽだけの花屋」、「FLY〜旅立ち〜」ともにグランプリになった作曲は、詩がとてもよく聞こえて口ずさみやすいフォークタッチのメロディーでしたが、詩の世界観を考えて、「たんぽぽだけの花屋」はシンプルなJ-POP的な今風のアレンジに、「FLY〜旅立ち〜」は思い切って合唱曲アレンジに挑戦してみました。ともに印象的な作品に仕上がったと思っています。

 作品の選考にあたっては、長時間にわたり審査員の皆様方が応募作品を真剣に選考している場に同席させて頂きましたが、非常に身が引き締まる思いがしましたし、よりいっそう頑張らなければならないという気持ちになりました。

 今回は、このような機会を頂き、作曲家協会、作詩家協会の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

選考にあたって寸評

日刊スポーツ新聞社 笹森 文彦

 ソングコンテストグランプリの対象歌手は、昨年の川中美幸さんや城之内早苗さん、大月みやこさんら演歌系の歌手が多かった。クミコさんといえば、シャンソンはもちろん、「INORI〜祈り〜」のような社会派のイメージも強い。今回の課題詩の「たんぽぽだけの花屋」と「FLY〜旅立ち〜」は、ともにメッセージ性の高い詩で、クミコさんがどんなメロディーで歌うのか、とてもワクワクした気持ちで審査した。

 協会会員の作品を審査していて、2点を強く感じた。1つは無意識のうちに内在する自分特有の音の配列から抜け切れていない。もう1つは逆にそれを脱却しようと奇をてらったような作品もあった。対象歌手で、作曲がいかに難しいかを感じる審査だった。

産経新聞特別記者 清水 満

 原作(詩)、主役(歌手)が決まっている。すべては言葉に乗る音に委ねられる。詩に隠された情景を読み解き、そして主役の個性を最大限に引き出す。そんな音を紡ぎ出す作業は醍醐味であろう。今回主役となるクミコの歌唱には魅せられる。しっとりとした優しさを調べのように歌い、時には激しくもあり、まるでドラマのように聴かせる歌唱はまさに"演技力"。それを創造する。

 「たんぽぽだけの花屋」は、素朴で可憐な花を題材に、生き抜くたくましさを描く叙情詩である。詩は少々長い。"たたみの難しさ"に苦労する姿が見えたが、ドキッとさせられた音にも出合った。グランプリは新たなクミコ像を醸し出す作品になるかもしれない。

音楽評論家 田家 秀樹

 歌い手がクミコさんと聞いた時にこれまでとは違うという期待が生まれた。シャンソンを下地にどんなスタイルの曲でも歌いこなしてしまう実力派。作曲家にとっては腕の見せ所だったのではないだろうか。

 「たんぽぽだけの花屋」は、"花屋と旅人"というロマンティックな設定。「FLY〜旅立ち〜」も母親と息子というヒューマンな関係。ともに"会話"というのが共通している。どこまで曲で語りかけられるか。情感をどこまで抑制しつつ表現するか。最優秀賞の作品は、そのバランスが優れていたように思う。優秀賞に入った曲のように、女性の方の曲に好印象のものが多かったのも頼もしく思えた。

 今年も楽しませて頂きました。ありがとうございました。

レコーディング風景

審査風景


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